成長戦略会議「実行計画」が公表されました
政府の成長戦略会議により、中間報告にあたる実行計画が公表されました。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/jikkoukeikaku_set.pdf
特に、人事労務分野に関連する部分を抜粋しましたので、ご確認ください。
キーワードは、「労働生産性の向上」、「労働移動の円滑化」、「ジョブ型雇用」、「テレワーク」、「兼業・副業」「フリーランス」といったところです。
2.経済成長率の上昇に向けた考え方
経済成長率を上昇させるためには、「労働参加率」の伸び率と「労働生産性」の伸び率を上昇させることが必要である。労働生産性向上の成果を働く人に分配することで、働く国民の所得水準を持続的に向上させ、需要の拡大を通じた成長を図り、経済の好循環を実現していく。
(1)労働生産性の上昇
1.に見たとおり、我が国の場合、労働生産性の向上の余地が大きい。また、労働生産性の向上は賃上げの環境整備にもなり、人口減少の中でも、国民一人一人の所得を増やすことにもつながる。
時間当たり労働生産性の伸び率は、「イノベーションによる全要素生産性(TFP))」の伸び率と「資本装備率6」の伸び率を合計したものであり、労働生産性を上昇させるためには、イノベーションと投資による資本装備率の拡大が必要となる。
このため、第3章における2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略、第4章におけるウィズコロナ・ポストコロナの世界における我が国企業の事業の再構築、第6章における「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備、第7章における足腰の強い中小企業の構築、第10章におけるイノベーションへの投資の強化などに取り組むことで、企業のイノベーションや投資を拡大することを通じて、労働生産性の向上を図る。
(2)労働参加率の上昇
1.に見たとおり、我が国の場合、労働参加率の伸び率はアベノミクス下においてG7諸国の中で最も高く、絶対値も最も高い状況ではあるが、足下では、新型コロナウイルス感染症の影響により、女性の就業者数が低下していることから、女性や高齢者の就業拡大に向けた環境整備を進めるとともに、第5章に示すとおり、テレワークや兼業・副業、フリーランスといった新しい働き方で安心して働ける選択肢を準備することにより、労働参加率を高めていくことが必要である。
また、観光需要の喚起などにより需要喚起を進めることは、労働参加率の上昇にも寄与する。
※労働参加率の上昇のために、観光需要の喚起がどれほど効果があるのか、私としては疑問です。
第5章 「人」への投資の強化
1.雇用の維持と労働移動の円滑化
(1)試行的雇用の対象拡大、新たな人材教育支援、在籍出向の円滑化
雇用の維持について、感染拡大の地域の状況や企業業績の状況に応じて、柔軟にその対応を検討する一方で、「新たな日常」に向けた労働移動の円滑化のため、予算・税制措置を含む支援を進める。
具体的には、短時間労働者を含む離職者に対するトライアル雇用の支援やキャリアアップの助成、在籍出向の環境整備、職業訓練の強化などを図っていく。
2.テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化
時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方として、テレワークなど新たな働き方の導入・定着を図ることが重要である。
今回、コロナ禍でのテレワークの実施により、その有効性が確認された。一方で、課題も明らかになった。
テレワークで生産性が上がるか否かではなく、「新たな日常」になることを前提とし、どうすれば労働生産性が上がるかを考えていくべきとの指摘があった。政府としては、テレワークの定着に向けて、新たなKPIを策定するとともに、中小企業によるテレワークのための通信機器の導入について支援の強化を図る。さらに、労働時間の把握・管理及び健康確保について、以下の方向で、労働法制の解釈の明確化を図る。
(1)労働時間の把握・管理
テレワークの時間管理について、労使双方にとって負担感のない、簡便な方法で把握・管理できるようにするため、ルールを整備する。
具体的には、以下の方向で検討を進める。
①テレワーク時における労働者の自己申告による労働時間の把握・管理については、自己申告された労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実により使用者が認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任を問われないことを明確化する。
②(中抜け時間があったとしても、)労働時間について、少なくとも始業時間と終業時間を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係で、問題はないことを確認する。
③テレワーク時には原則禁止であるとの理解があるテレワークガイドラインの「時間外、休日、深夜労働」について、テレワーク以外の場合と同様の取扱いとすることについて検討する。
3.新しい働き方の実現
(1)フリーランス
フリーランスについて、多様な働き方の拡大、高齢者雇用の拡大などの観点からも、これを安心して選択できる環境を整えるため、独占禁止法や下請代金法を適用することを明確化する一覧性のあるガイドラインについて、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で年内を目途に案を作成し、意見公募手続を開始する。
その上で、発注事業者とフリーランスとの取引におけるトラブルに迅速に対応できるよう、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法に基づく執行体制を充実する。
さらに、労働者災害補償保険の活用を図るための特別加入制度について、年内を目途に対象の拡大を行う。
(2)兼業・副業
我が国では、優秀な人材が大企業に就職し、長期間、同じ組織の中で仕事をすることが多いが、バックグラウンドが多様な者が多い組織のほうがパフォーマンスは高まるとの指摘もあり、兼業・副業の定着を通じて転職が活性化することは、日本の組織全体に好影響を与えるとの指摘があった。
このため、企業が安心して兼業・副業を認めることができるよう、本年9月に、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、労働時間の自己申告制を設け、申告漏れや虚偽申告の場合には、兼業先での超過労働によって上限時間を超過したとしても、本業の企業は責任を問われないことを明確化した。大企業をはじめ、自社の従業員の兼業・副業が奨励され、兼業・副業する者を実際に採用していくことが重要であり、本制度の普及が極めて重要であるとの指摘があった。
このため、ガイドラインの分かりやすいパンフレットや、労働時間の申告の際に活用できる様式の丁寧な周知等を図っていく。



